旅はボックスシート。

しぜんの ちからって すげー!

旅はボックスシート。<後編>

五能線 千畳敷駅を出ると列車は一気に静まった。

 

 

ここから先への乗客は観光客が8割で、残りの2割が地元の方々のようだった。

 

ボックスシートの進行方向に座り、荷物を向かい側の席に置き、ゆっくり景色を眺めようとすると、一人の男性が向かい側に座った。

 

いままで賑やかだったこともあり、ここからはゆっくり景色を堪能したい

 

そう考えていたので、向かい側に人が座るのはあまり快くなかった。

 

乗客はほとんど、景色を見に列車に乗っているので、仕方ないと思い、座席においておいた荷物を網棚に載せた。

 

 

 

列車が動き出してしばらくすると、男性が「一人旅ですか?」

 

と声をかけてきた。

 

一通り会話を終えると、視線を窓へと向け続けた。

 

車窓を流れる雄大な景色に集中したい私としては、この区間では人と話したくないと思ったからである。

 

彼もカメラを持っていて、しばらくは無言で沿線の景色を撮っていた。

 

 

 

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天気も良く、波も穏やかな日本海を望む

 

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あちらこちらにプライベートビーチがある

 

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岩場 茶色と白と緑のコントラストがいい。

 

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ゴツゴツした海岸線沿いを進む

 

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広戸駅~深浦駅間で景色はピークを迎える

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このような地形の海岸はあまり見たことがない

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磯遊びに来た車が並んでいた

 

 

向かい側に座った男性は、深浦での乗り換え時間に余裕があるので一つ手前の広戸駅で下車した。

 

広戸駅~深浦駅の景色は歩いて堪能するそうだ。

 

 

こうして私は深浦駅に到着した。

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深浦駅到着後の一コマ。

 

 

つかの間の記念撮影タイム

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海岸はすぐそばに広がっている

 

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乗ってきた気動車

空の青さが鰺ヶ沢より増した気がする。

 

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深浦駅を出ると一台の大型バスが待機していて、乗客の殆どがそれに乗って行った。

 

やはりツアーだったか

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深浦のスコップくん 

泣いている理由は「みんなが来てくれて嬉しいから」だそうだ

 

深浦では1時間半ほど乗り換え時間がある。

 

見たところ駅前には小さな商店があるのみでコンビニ等は無い。

 

 

一応駅周辺が街の中心のようだが、平地が少ないようで国道沿いに住居、商店が並んでいる。

 

 

駅前をふらっとしていたが、昼飯を食べれそうな場所が見当たらなかったので、街の商工会の人が言っていた「深浦マグロステーキ丼」の店に行くことにした。

 

国道沿いを歩くとマグロステーキ丼の店があった。

 

一日限定数十食だそうで、カウンターには数名のお客がいた。

 

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丼 というより定食だ

 

マグロを直接のせて食べる丼

マグロを焼いてタレで食べる丼×2

 

で構成されていて食べ方があるらしい。

 

 

深浦マグロステーキ丼は深浦のB級グルメのようだ。

 

 

完食した後は、駅周辺の海岸を歩いてみることにした。

 

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歩いていると向こう側に柵がある岩が見えた

 

この上にのぼれるのでは?

 

と思い早速向かった

 

国道沿いを歩いていると、広戸駅で下車した男性が向こうから歩いてきた。

 

すごく景色が良かったそう。

彼はこのあと深浦で昼を食べるそうで、再度ここで別れた。

 

この日はかなり気温が高く、蒸し暑かった。

 

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先ほど見えた登れそうな岩までは桟橋が設けられている。

 

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上に何があるのか楽しみ

 

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海の幸が豊富そうだ

 

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岩には階段のような穴が開けられていて、これを登って上まで行くようだ

 

硬そうな岩に見えるが、思ったより脆い質である

 

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階段は複雑に入り組んでいて穴をでたあとも更に上りがある

 

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真下を見下ろす。

 

 

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通ってきた道

写真右側が深浦駅方面となる。

 

 

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岩のてっぺんについた。

 

予想通り360°オーシャンビューである。

 

てっぺんかはかなり高く、風を強く感じた。

 

写真は岩から見た深浦の市街地

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予想以上に岩の頂上は広かった。

 

 

 

岩の上には特に何もなく、街が見下ろせた

 

 

おそらく夕日スポットなのであろう。

 

 

調べたところによると、この岩は「大岩」といい、展望台のようだ

 

晴れていれば岩木山も見れるようだが、残念ながら見れなかった。

 

 

今後この記事を見て深浦に行く方がいれば、ぜひ足を運んで欲しい。

 

 

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再び駅に戻ると、乗車予定の東能代行き列車が待機していた。

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窓側を確保 

 

艫作までの2駅だが、窓側のボックスシートに乗れた。

 

 

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出発を待つ東能代行き

 

ここで青森方面行きのリゾートしらかみとすれ違いを行う

 

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反対側からリゾートしらかみ「橅」がやってきた。

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少しの停車時間があるが、橅はすぐに発車した。

 

駅員さん、車掌さんが非常に楽しそうに乗務していて良い職場だなと思った。

 

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ふたたびスコップくんの登場

 

こんどはお別れの挨拶のようだ

 

 

深浦駅を出た東能代行きは15分ほど走って

 

黄金崎不老ふ死温泉の最寄り駅である「艫作(へなし)駅」に到着

 

リゾートしらかみの場合、艫作には停車せず隣の「ウェスパ椿山駅」に停まる。

 

リゾートしらかみ運転日であれば、ウェスパ椿山駅から黄金崎不老ふ死温泉までは送迎バスが出るそうだ

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乗ってきた列車が去ってゆく

 

 

ここで降りたのは3人

 

その中のひとりに 彼がいた。

 

ボックスシートの向かい側に座り、国道ですれ違った男性と3度目の遭遇である。

 

彼も黄金崎不老ふ死温泉に行くそうで、一緒に向かうことにした。

 

艫作駅から温泉までは20分ほどで、その殆どが下り坂だった。

 

彼は神奈川から来ているそうで、大手電機メーカーで働いているそうだ。

 

 

20分ほど話をしながら歩くと、黄金崎不老ふ死温泉に着いた

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日帰り入浴でリストバンドタイプの入浴券をつけてもらい、浴室に向かった。

 

浴室はかなり混んでいる。外の露天風呂に入るには一度内風呂でかけ湯をしてから再び服を着て外湯へ向かうスタイル。

 

 

私も男性も目当ては外湯であったのでかけ湯をするとすぐに露天風呂へ向かった。

 

 

 

露天風呂は目の前に日本海が広がる。

湯温はぬるめで茶色のお湯だ。

 

暑い夏にはぴったりの温度で海風があたって気持ちいい。

 

 

このまま1時間浸かっていたかったが、最終の上り新幹線に間に合わないので30分ほどで切り上げた。

 

 

3度も遭遇した男性に礼と別れを告げ、私は露天風呂を後にした。

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写真中央が外湯

 

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汗を流したのにまた汗をかく。

 

行きは20分だったが、帰りは上りということもあって30分ほど時間を要した。

 

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 艫作駅に戻ったのは列車到着の5分前のこと。

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 15:04 深浦から東能代行きが到着

 

 

これに乗り、東能代能代経由で秋田へ向かう。

 

 

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 先ほど言ったウェスパ椿山

 

テーマパークのような大きな施設が隣接している。

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白神山地にある青池へはここ十二湖駅から向かう。

 

 

今回は時間がないのでパス…

 

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風景がゆっくり流れていく

 

リゾートしらかみもいいけれど、窓を開けた普通列車の良さもある。

 

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能代に到着

 

能代からは再び奥羽本線に乗り、秋田を目指す。

 

久しぶりのロングシート車両だ。

 

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秋田につく頃には夕日が沈みかけていた。

 

 

 最終の東京行き「こまち」まで、あまり時間がなかったので秋田新幹線の切符を購入し、ホームへ向かう

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こまち38号に乗って当日中に関東へと戻った

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今回の旅は無計画だったものの、非常に良い旅ができた。

また、ボックスシートで出会った男性から一人旅の良さを学んだ

この後もいくつか旅をしたが、今回は非常に印象深い旅となった。

 

自分の旅の意義について考え直す良いきっかけになったので、これからは今までとは違った旅の楽しみ方をしたい

そう思った5日間だった。

 

 

旅はボックスシート

 

ボックスシートで向かい合った人と話で盛り上がれるような旅人になりたいと思った。

 

 

 

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おわり。

 

そろそろ西日本1周の記事を書かないとなあ…