御宿 小浦海岸レポート
千葉県 御宿町にある小浦海岸のここ最近の様子について
2017.11.17
御宿町中心地から車で10分ほど
海洋生物環境研究所付近にその入口がある。
白砂と絶壁の異空間「小浦海岸」についてレポートを書いてみた。
まず、レポートをする上で各所で撮った写真と関連する場所を以下の地図に示した。
オレンジ線は徒歩ルート、点線は海岸へ抜ける道を示している。
c1,c2のポイントは、NPO法人「御宿DE元気」が設置した看板をもとにプロットしてある。
また①~⑩の数字は各所で撮影した写真とリンクしている。
1.入り口から小浦隧道(仮称)まで
道路からの入口には木製看板が設置されている。
比較的新しいもので、小浦海岸までのルートが大まかに記されている。
①小浦隧道掘割
2017.4月撮影
西側坑口手前10mは掘割になっている。
倒木が頭上を横切るが徒歩では問題ない。
背の高い車は引っかかる可能性がある。
②小浦隧道西側坑口
2017.11撮影
2017.4月撮影
7ヶ月で特に変化はない。
上の写真は雨のあとなので坑口がぬかるんでいる。
丁寧に岩が切り取られているのがわかる。
この隧道には名前がないが、先輩方のレポートにならい「小浦隧道」とした。
長さ:50m(目視)
高さ4m(目視)
幅2.6m(目視)
③小浦隧道内部
2017.2月撮影
2017.4月撮影
内部は比較的乾燥しており、地面はよく踏み固められている。
断面はやや四角で、これは半円のトンネル上部を切り取ってできた形ではないかと推測する。
比較的硬い岩をくり抜かれており、大きな落石はないが、壁面上部の風化が進んでおり、落下している岩もあった。
④小浦隧道東側坑口
2017.4月撮影
東側坑道口は乾燥しており、漏水もない。
上部に落ちてきそうな木があるが、かなり根を張っているようす。
隧道内写真中央にあるのは、洞内分岐で、2m行ったところで右(西側)に折れ曲がり、
その先は閉塞している。
先輩方のレポートには「海女さんが海へ抜けるための近道」とあるが、海とは反対方向に向かって掘り進められており、その説は微妙であろう。
仮設ではあるが、海女さんが着替えるスペースではなかったのかと考えた。
また、同じような洞内分岐が西側にもあるが、こちらも2m進んでトンネル中心(東側)へと折れ曲がっている。
こちらの内部は調査していないが、恐らく閉塞しているであろう。
雨の日のあとに行くと、東側坑口横の藪の中に水が流れているのがわかる。
隧道を抜けると道は南に屈折し、直線路で海岸にアプローチする。
藪が濃いため海を望むことはできないが、暫く歩くと波の音が聞こえる。
また、海に向かって左側の沼地は、なだらかな傾斜地になっており、かつてここが田んぼであったのではないかと考える。
⑤ 小浦海岸砂浜
2017.4月撮影 ⑤B
2017.2月撮影⑤A
小浦海岸の海岸部へと抜けた。
白い砂の堆積がみられる。
小浦海岸⑤は大きく2つのエリアに分けることができる。
⑤.トーチカ跡より南側「砂浜エリア」
⑤A 砂が堆積している「扇状地エリア」
⑤B 侵食が進む「南側海食崖エリア」
⑤Aエリアの様子
ここは、小川による浸食作用のためか、扇状地状に砂浜が広がっており、海からの漂流物と運ばれてきた砂の漂着エリアになっている。
2017年前半は砂浜への漂流物も少なく、きれいな白砂の海岸であった。
しかし、後半に関東地方を直撃した2つの台風の影響で、昆布類の茎や大木など
おおきな漂流物が多数見受けられた。
また、砂が以前より陸側に押されており、足を取られるほどであった。
現在はこの写真のようにきれいな砂浜は見ることができない。
また降雨後には⑤Bエリアの崖横に滝ができている。
2017.11月撮影
⑤Bエリアの様子
2017.4月撮影
2017.11月撮影
2017.11月撮影
奥の海食崖が剥がれ落ちている。
波の浸食作用が強く、数年で海蝕洞ができそうだ。
なお海食崖下部の地層は粘土質の粒が細かい堆積岩である。
硬い岩の間にある砂岩が波でえぐられ、縦型鬼の洗濯板のようになっている。
⑥トーチカ跡
⑥B 中央トーチカ
2017.2月撮影 6B
2017.4月 6B
2017.11月 6B
⑥A南側トーチカ
小浦海岸には海食崖に3つのトーチカ(?)がある。
諸先輩方にならい「トーチカ」と表現するが、ここがトーチカとして使われたという確証がない。
また、とある方は、地元の漁師さんの話として、海女さんが海に飛び込む穴と書いている。
どちらにせよ諸説ある穴だ。
この穴は北から「北側トーチカ、中央トーチカ、南側トーチカ」
と順に区別するが、アプローチできるのは「中央トーチカ、南側トーチカ」のみである。
なかでも⑥B中央トーチカが一番大きく、高さ1.8m、幅1.2mほどある。
⑥A南側トーチカは高さ0.8m、幅0.4mほどで大人一人がしゃがんで入れる大きさだ。
ここは小浦海岸の名景色の一つだが、内部の風化が進んでおり、入る際は注意してほしい。
⑦小浦海岸砂浜東
6Bから見た⑦方向
2017.2月
⑦ 2017.11月
⑦エリアは背後を海食崖に囲まれた細長い砂浜である。
ここの砂はよく固まっており、⑤Aエリアと比べると歩きやすい。
台風の影響で、一部の崖が崩れており危険と感じた。
今後、更に崩れそうな崖面になっており、近づかないことをオススメする。
2017.11月撮影
⑦位置から北側トーチカを確認できる。
ここからは水が流れ出ている。
⑧水田横の道
2017.4月撮影
⑧のあたりは昔、水田だったようで地形が棚田状になっているのをグーグルマップで確認できる。
現在は放置されており、2mほど成長した笹のような草が生い茂っている。
ここの道を抜けるともと来た道路に戻れるそうだが、その先の調査はしていない。
⑨マムシグサ
2017.4月撮影
⑨の地点付近でマムシグサを発見。
この時期に実をつけているので、ヒガンマムシグサの可能性が高い。
しかし、美味しそうに見えるその実を、トウモロコシのように食べてはいけない。
2017.4月撮影
踏み跡が残る道を進んでいくと、2mをゆうに超える笹地となった。
このあたりは全く視界が効かない。
⑩高台
踏み跡が残る道を10分ほど進むと、⑩の地点で視界がひらけた。
くぼんでいるあたりが小浦海岸北端部と推測する
ここの標高は20m~30mほどである。
まとめ
以上が小浦海岸の2017年のレポートである。
ここ小浦海岸は都心から近く、インスタ蝿スポットでもあるため、秘境にしてはかなり多くの訪問者がいるようだ。
特に夏はプライベートビーチ感で訪れる人も多いであろう。
しかし、ここは管理された砂浜と違い、波も高く危険である。
ここでの遊泳は絶対してはならない。
加えてバーベキューなどで利用する人もいるようだが、ゴミの持ち帰りを必ずしてほしい。小浦隧道内部にはバーベキューのゴミが放置されており、そこにゲジが数匹集まっていた。
*オオゲジ注意
末永くここを利用したいのであればマナーはしっかり守って欲しい。
それと探索目的で来るのであれば服装や持ち物など身を守る最低限の装備で来ることをオススメする。